気軽に買える”夢のレンズ”、TTArtisan 35mm F0.95

Canon EOS M50 + TTArtisan 35mm F0.95

中国・深圳にあるレンズメーカーTTArtisanのAPS-Cミラーレス用レンズ「TTArtisan 35mm F0.95」を購入してみました。EOS Kiss MのEF-Mマウント用で僅か32,727円(税込)。


こうした遊びをキヤノン機でやる人は少ないのかも知れませんが(もっぱら富士フィルムのXシリーズでしょうが)EOS Kissに装着した佇まいも趣きがあって良い感じです。

 

F値が0.95というと、かつてキヤノンが出した通称「ドリームレンズ」(夢のレンズ)が思い出されます。このドリームレンズこと「Canon 50mm F0.95」は、1961年に当時のキヤノン7型というレンジファインダー機用のレンズとして登場しました。60年以上経過した現在に於いても尚、中古相場20〜30万円と高値安定のレジェンドなレンズです。

もう1つ、F0.95の明るさを持つレンズとしては、ライカのノクティルックスM f0.95/50mm ASPHが有名ですね。こちらはライカMマウント用の現行モデルなレンズですが、そのお値段ナンと154万円也。・・・成程、F0.95というのは正にドリームな存在です。

 

さて、そんなドリームな世界のF0.95なる明るさを持つレンズが、僅か3万円チョイというのが新興中華レンズメーカーの面白いところ。ただし、このレンズはAPS-C機専用でフルサイズ機には対応していません。一般的にAPS-C専用レンズは小さく安価に作れますが、それにしてもF0.95が3万円チョイというのは穏やかではありませんね。

 

とまれ、さっそく撮影してみました。

冒頭の写真にあるように、EOS Kiss Mに装着しての撮影。キヤノン製APS-C機の場合、焦点距離は1.6倍になりますので、35mm × 1.6倍 = 換算56mm相当の画角となります。

 

Canon EOS M50 + TTArtisan 35mm F0.95

(EOS Kiss Mにて換算56mm , F0.95 , 1/100 , ISO125)

絞り開放での撮影ですが、適度なシャープさがあると感じます。線も程よい細さで周辺減光も感じません。

 

Canon EOS M50 + TTArtisan 35mm F0.95

(EOS Kiss Mにて換算56mm , F0.95 , 1/200 , ISO100)

ピントも合わせやすく、体感的にはフルサイズ機でF1.4くらいのマニュアルレンズを使っている感覚です。

 

Canon EOS M50 + TTArtisan 35mm F0.95

(EOS Kiss Mにて換算56mm , F0.95 , 1/500 , ISO100)

ボケの形状を見ると・・・うーん、玉ボケの形状はちっとも美しくは無いですね(笑)。とはいえ昨今の非球面レンズに見られる年輪ボケ(玉ねぎボケ)と呼ばれるようなグルグル渦巻き状のボケとは違うシンプルなボケなので、形の歪さはあれど私はこちらの方が好みです。

 

ボケの量が分かりやすい写真を用意してみました。APS-C機でのF0.95は、計算上はフルサイズで言うF1.2相当と言われますが、話はそう単純ではなく、ここに焦点距離の差が出てきますので、実際の見え方はかなり変わってきます。

EOS M50 + TTArtisan 35mm F0.95 (Aperture is F0.95)

(EOS Kiss Mにて換算56mm , F0.95 , 1/125 , ISO100)

APS-C機でここまでボケが楽しめるレンズというのは何だか感慨深いものですね。


同じような画角とボケ量で、フルサイズ機のEOS Rにて、中華レンズ「7Artisans 50mm F1.1」(ライカMマウント用)にて撮影したのが以下となります↓

EOS R + 7Artisans 50mm F1.1 (Aperture is F1.6)

(フルサイズEOS R + 7Artisans 50mm F1.1にて。 F1.6 , 1/60 ,  ISO200)

フルサイズ焦点距離50mm F1.6付近でこんな感じでした。まだコチラの写真の方がボケ量は多く感じますが、F1.8付近まで絞ると逆転してしまうので、F1.7相当って感じでしょうかね。

誤解が無いように補足すると、APS-C機のF0.95がフルサイズ機のF1.7相当という訳ではありません。このボケ量の違いは焦点距離による違い(35mmを56mm相当にしたものと50mmで似た画角にカメラ位置を変えて撮影した違い)によるものです。実焦点距離が多い方が、よりボケ量も多くなりますからね。

  

最後にTTArtisan 35mm F0.95の歪曲収差を見ておきましょう。

歪曲収差 TTArtisan 35mm F0.95 (Aperture is F0.95)

(EOS Kiss Mにて換算56mm , F0.95 , 1/100 , ISO200)

歪曲収差については、こんなところでしょうかね。大らかな心で許容範囲かと。

 

総評として、TTArtisan 35mm F0.95は大満足のレンズです。とても良い買い物でした。

コンパクトな為、EOS Kiss Mの利点を活かせるのも良いですね。金属製の筐体は手にした際の質感も高く(些かデザインはアクが強いですが)、これまでAPS-C機では味わえないと諦めていたボケ感の世界が手軽に楽しめるという意味で貴重なレンズと考えます。〔つづく

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