放射能を帯びたキヤノンのオールドレンズたち

Canon FL50mm F1.4 II (1968)

またまた、古いキヤノン製レンズについてのお話し。

日本人は「放射能」という言葉に敏感な国民です。広島・長崎の原爆投下から福島原発事故に至るまで、これ程までに放射能に苦しめられ続けている国ですから無理もありません。

 

・・・そんな、忌み嫌われる放射能(放射線)を放つレンズが我が家には2本も存在すると言ったら、どんな印象を持たれるでしょうか。その2本とは↓

・Canon FL 50mm f1.4 II

・Canon FL 50mm f1.8

です。これらレンズは光学特性の向上を目的に、酸化トリウムという放射性物質を用いて製造されており、レンズが放射能を持っていて放射線を放ちます。これらはキヤノン製ですが、別にキヤノンに限った話しでは無く、1960〜70年代のレンズには見られる珍しくは無い手法のようです。

 

CANON FL 50mm F1.4 II

既に半世紀以上も昔のレンズですから、もう放射線なんて出てねーんじゃねーの?と思うなかれ、トリウムの半減期は7340年(!)という事で、まだまだ現役バリバリに放射線を放っている事が分かります。ホント、放射能って恐ろしいですね。

 

こうした放射能を帯びた古い時代のレンズは「アトムレンズ」又は「トリウムレンズ」と呼ばれ、オールドレンズが流行った2013年頃にはよくネット上でも話題になっていたものです。

 

さて、そんな放射能を帯びたレンズですが、本当に放射線を出しているのか測定器で測っている例がネット上では散見されます。概ね自然界に存在する放射線の約3〜5倍程度は放っているようなので、枕元に置いて寝たりはしない方が良いか知れません。

また、アトムレンズには以前から「含有する放射線がフィルムに感光しノイズとして写り込むのでは?」というモノ。長年、理論上のヨタ話しであったこの現象を実験で実証された方が居りました。↓

上記サイトの実験では、フィルム程度の感度なら感光しないが、昨今のデジカメでは感光してノイズになる事がある、との事。それにしても凄い人が世の中には居るものです。

  

「放射能を帯びたレンズ」と聞くと、何だか不気味な妖気に思えてくる、不思議な雰囲気を放つアトムレンズ。決して気持ちの良いモノではありませんが、話のネタに1つくらい持っていても良い(?)・・・のかも知れませんね。〔了〕

 


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