クラフトワーク騒動
Fuji Rock Festival 2024に出場したドイツのテクノユニット「クラフトワーク」によるパフォーマンスが物議を呼んでいますね。30年来のファンな私としては「平常運行」ですが、初めて目にした人は困惑したのだと考えます。
議論を読んだのは彼らの代表曲「Radioactivity」(放射能)の歌詞に福島の原発事故に触れた上で「いますぐやめろ」と訴えた点。
Yahoo!ニュースでも取り上げられ、SNSで更に拡散している現状です。
「Radioactivity」は1975年のアルバム「Radio-activity」(真ん中にハイフン付き)に収録された曲です。
当時の歌詞は「Radioactivity〜♪Discovered by Madame Curie」(放射能、キュリー夫人によって発見される)と歌った後に「Tune in to the melody〜♪」(メロディーに耳を傾けろ)とあり、放射能(Radioactivity)の歌に見せかけて実はナチスがプロパガンダに用いたラジオ活動(Radio-activity)について言及した歌で元々、政治的な批判色を帯びた曲でした。
1991年のアルバム「The Mix」で「Radioactivity」の歌詞は反原発の曲に大きく変わります。
歌詞に放射能で深刻な被害を受けた「チェルノブイリ〜♪」、「ハリスバーグ〜♪(スリーマイル島)」、「セラフィールド〜♪(ウィンズケール原子炉火災事故)」そして「ヒ・ロ・シ・マ〜♪」が登場するようになります。
更に歌詞も「Stop Radioactivity〜♪」(放射能をやめろ)、「Chain reaction and mutation, contaminated population〜♪」(連鎖反応そして突然変異、汚染集団)と続く完全なる「反原発の歌」に変わります。私がクラフトワークを聴き始めたのも、この1991年のアルバムからでした。
今回問題になった歌詞は2012年に坂本龍一が脱原発を呼びかけたフェス「NO NUKES 2012」にクラフトワークが出場する際、坂本龍一が日本語訳の歌詞として「フクシマ放射能」「いますぐやめろ」と綴ったことに遡ります。
つまり、この経緯を知るクラフトワークのファンは「2012年の坂本のアレか」と目を逸らす訳ですが(苦笑)、2024年の今に何の身構え無く突然あの歌詞が出てきたら・・・確かに困惑しますよね。
そこに福島県議会議員(上記、県議の指摘である「フクシマ」とカタカナで呼んだ歌詞を作ったのは他でもない坂本龍一なのですが)に加え、何でも絡んでくる町山智浩氏も参戦したりして、右も左もクソもミソも投げ合っているのが今の状況。
・・・むしろ私が注目したいのは、このライブ映像を現地で収録したMIYA MUSICさん。ナンとiPhoneで撮ったのだとか(!)。画質の素晴らしさもそうですが、何より音質の良さに驚きます。
MIYA MUSICさんはいつもハイクオリティな動画をアップしてくれる私も大好きなチャンネルです。[了]