JBL LIVE650BTNCと、センチメンタル・ジャーニー
ここ最近、テレワークでのオンライン会議が続いた事もあり、一日中カナル型のイヤホンを使っていたら軽く外耳炎の症状が出てしまい、マイク付きオーバーイヤー型のBluetoothヘッドフォン「JBL LIVE650BT」を購入しました。安価な割に締まりのある音を奏でてくれて中々気に入っています。
低域・中域・高域ともに良い感じに明瞭で、ストリーミングサービスで80年代歌謡曲とか聴くとイイ感じにハマってくれます。
そんな中、ふと聴いて「・・・この歌すごい」と改めて感じたのが「センチメンタル・ジャーニー」。
「センチメンタル・ジャーニー」と聞いて、「ジャズのスタンダードナンバーでしょ?ドリス・デイの」と言うスカした輩は信用してはいけない。勿論、松本伊代のデビュー曲(1981年)の方ですよ(笑)。
松本伊代、当時は甘ったるい喋りや変な歌い方が好きでは無かったのですが、いま改めて聴くと名曲であり、さすが筒美京平の作品と聴き入ってしまいました。
この曲 を分解してみると↓以下のような構成になっています。
【Aメロ】
読み捨てられる 雑誌のように
私のページが めくれるたびに
放り出されて しまうのかしら
それが知りたくて とても
あなたの瞳の奥に 旅してく わたしなの
【サビメロ(一部)】
センチメンタル・ジャーニー
【Bメロ】
つぼみのままで 夢を見ていたい
影絵のように美しい 物語だけ見ていたいわ
【サビメロ】
伊代はまだ 16だから(Sweet Little Sixteen)
何かに誘われて あなたにさらわれて
センチメンタル・ジャーニー
作詞:湯川れい子/作曲:筒美京平のこの曲、AメロとBメロの間にサビの一部が滑り込む独特な構成をしています。
イントロの明るさと変わって歌い出しのAメロはトーン穏やかに甘ったるい歌い方が続き、サビメロの一部「センチメンタル・ジャーニー♪」が入り込み、雰囲気が明るくなるものの、続くBメロは、また抑え気味な曲調が続きます。
このBメロ部分、松本伊代の歌い方が実に危なっかしい感じで安定感がありません。歌詞も「影絵のように美しい物語だけ見てたいわ」と、雰囲気も暗い。
しかし、ここから一気にサビメロの「伊予はまだ16だから〜♪(Sweet Little Sixteen〜♪)」と爽快に抜け、再び「センチメンタル・ジャーニー♪」と明るく締めます。
当時、歌番組などでは尺の関係から、歌詞2番のAメロ部分を割愛し、(1番)Aメロ→サビ一部→Bメロ→サビメロ→(2番)Bメロ→サビメロ、とBメロとサビメロが交互に来る構成で歌われるのですが、これが実に程よい暗さ(切なさ)とスカっとした明るい伸びやかさの緩急になっていてクセになります(笑)。
また「伊予はまだ16だから〜♪」に合わせたバックコーラスの「Sweet Little Sixteen〜♪」が明るい雰囲気に増幅効果をもたらしていて本当に神がかっています。こうしたキレの良いバックコーラスは、井上陽水「氷の世界」(1973年)然り、メインのボーカルをしっかり支えてくれる気持ち良さがありますね。
(作詞の湯川れい子は翻訳家として洋楽やジャズにも精通しているのでタイトルはジャズの同名曲から、コーラスの歌詞「Sweet Little Sixteen」部分は米国チャック・ベリーの同曲(1958年)をオマージュしたものと推察されます)
どちらかと言うとネタ扱いにされがちな昭和アイドル歌謡曲の「センチメンタル・ジャーニー」ですが、改めてじっくり聴くと、天才・筒美京平が緻密に計算された曲だと分かりますし、それを危なっかしくも歌いこなす松本伊代の甘ったるく少し低めなキーあってこそ、と考え直すきっかけとなりました。〔了〕
※私は当時、斉藤由貴ファンでした(そして、いまでも)