音楽好きには最高な「Cafe 45records」。

Cafe 45records.

写真に見える黒い3wayスピーカーは1980年代初頭のTechnics製「SB-6」という平面振動板を採用した普及価格帯モデルです。


いわゆる通常のスピーカーは「コーン型」と呼ばれるお椀のような形をした振動板で音を伝えるのに対し、「平面振動板」はその名の通り平べったい平面の振動板が用いられています。

平面振動板を採用したメリットは、一般的に「高い周波数応答性」(=高音域も歪みの少ないクリアな音色)と「音の均質性・立ち上がりの良さ」(=平面の振動板から均一に音の波が放出される)、そして「スリムな奥行き」と言われていいます。反面、デメリットとしては「重低音に欠ける」点や「ダイナミックレンジが不利」とも言われておりました。

この日、ロックのレコードばかり数曲を聴きましたが、どれも迫力ある澄んだ音色だったのが印象的でした。私は普段、ロックは聴かないのですが、肌にビシビシと伝わる音の粒が心地よかったです。平面振動板は普及こそしなかったものの、小気味良い音を奏でてくれますね。

 

この場所は「Cafe 45 records」(札幌市豊平区平岸)というカフェバーです。70年代ロックを中心とした店で、その店名は所謂「45回転」のレコード盤に由来すると推察されます(レコード盤には「33回転」と「45回転」がありますが、より高速に回転する45回転の方が音質的にも良い仕様)。

店に入ると壁一面にレコードが陳列されている他、床にも無造作に段ボール箱が積まれており、いずれも中はレコード盤でぎっしり。店のマスターいわく、好きなレコードを選んで店内でかけてもらうシステムのようです。この日は私の他にも2人の40〜50代と思われる男性客がいましたが、2人とも常連客のようで手慣れた様子で選曲していました。

アパートの1階にある店で、こんなに大音量で聴いていて苦情が出ないものなのか要らぬ心配がよぎりましたが、元気よく鳴り響くスピーカーからの音色はホント気持ちの良いものですね。

 

写真に見えるように、メインのスピーカーは「Technics SB-6」で、その脇に小さく見えるのは英国Rogers製「LS3/5a」と思われます。

LS3/5a」は、例のBBC(英国国営放送)でモニタースピーカーとして採用した高性能モデルで、価格も20万円以上します(!)。また、ここには写っていませんが、すぐ横にはYAMAHA製「NS-10M」(初代)も置かれていました。

接続されたアンプは、恐らくマランツ製PM6007と思われ。中価格帯ながら高級機を凌ぐクラスレスな音を叩き出す名機として名高いモデルですね。

写真には写っていないものの、脇にレコードプレイヤーが置かれていました。チラっと見た感じではTechnics製「SL-1200」系でした。

 

・・・つまり、オーディオ的に「よく分かっている」構成と言うことです(笑)。

これは耳に身体に心地よい訳です。

 

私はロック系は聴かないし、世代的に70年代よりも80年代寄りですし、そもそもレコードにも想い入れは無いのですが、迫力ある音を浴びるのは、とても心地の良い時間の過ごし方ですね。加えて、この店は自宅から徒歩圏内の近所ですし、アルコール類も充実していますので毎週のように通いたくなる店です。

ただ、残念なことに店内は全面喫煙可。私以外、皆さん吸われる方ばかりでした。この日もまだ店に居て聴いていたかったものの、呼吸器系の弱い私は程なく退散。

かなりハマる要素の高い店だっただけに残念ですが、また機会を見つけて行ってみたいと思います(もっともタバコの煙の中では、アルバム一枚も耐えられないでしょうが・・・)。〔了〕