映画「ホームレス ニューヨークと寝た男」のカメラ機材


今更ですが、2014年の映画「ホームレス ニューヨークと寝た男」を観ました。

あらすじは上記公式動画を観るのが早いですが、要するに超イケメンで優雅なファッション写真家のマーク・レイ氏が、実はホームレスでビル屋上を住処にしていた、というドキュメンタリー映画です。
 
撮影は2年の密着取材だったそうなので、2012年前後の様子と推察されます。
 
マニア的な視点で気になったのは、マーク・レイ氏が扱うカメラ機材。
カメラマンのマーク・レイ氏

上記シーンからも分かるように、カメラはAPS-C機の「Canon EOS 7D」を使っているようです。7Dの発売年が2009年なのでちょうど撮影時期とも合致しますね。発売当時は約20万円程した一眼レフカメラですが、今となっては中古で2万円弱で買えたりします。
 
用いているレンズは劇中で出てくるのは1本のみで、どうやら全ての撮影領域をこれでカバーしている様でした。映像を見る限り、「Canon EF24-105mm F4L IS USM」と思われます。2005年に発売されたLレンズで、発売当時は約15万円程した高級品。こちらも今となっては中古で(程度によりますが)4〜6万円程度でしょうか。因みに、EOS 7DはAPS-C機なので、約38mm〜168mm相当の焦点距離となります。

映画「ホームレス ニューヨークと寝た男」より

また、レンズフードは「Canon ET-83」のように見えますが、ちょっとよく分かりませんね。標準的なサイズより長めのレンズフードを付けているのは望遠側の画角となるAPS-C機だからでしょうか。
 
また、装着されたストロボは「Canon 580EX II」と思われます。
 
2014年の映画ですが、日本公開は2017年とブランクがありました。日本公開時に訪日しているマーク・レイ氏のインタビュー記事では使用するカメラが変わっています。
 
下記「Forza Style」のインタビュー記事内の画像が最もわかり易いのですが、カメラは「Canon EOS 5D Mark III」に、レンズは私も愛用する「EF24-70mm F2.8L II USM」に変わっています↓
 
日本の記者からのインタビューに答えるカメラマンのマーク・レイ氏

この映画はドキュメンタリー映画にも関わらず、世界的にヒットしたようなので、羽振りも良くなっているのかな?と邪推したくもなりますが、驚くべきことにマーク・レイ氏は映画の出演料を貰っていないそうです(!)。
 
さらに、この映画のヒットを元に、様々なところに仕事を求めるレターを送ったそうですが、オファーしてきたのは1箇所も無かったとのこと・・・つくづく厳しい世界なのですね・・・。
 
このあたりの詳細は下記HEAPS Magazineの記事に詳細が掲載されています。

 
それにしても原題「Homme less」(←家のHomeと、男性ファッションのHommeをかけているものと思われ)に対する邦題が「ホームレス ニューヨークと寝た男」とは何とも品の無い感じですが、そうしたちょっとゲスい感じも何となく納得できる内容だったりもします。
 
 
この類の映画は、男性からは支持を得ても、女性からはあまり共感を持たれない内容だと感じました。ドキュメンタリーでは無いフィクション映画ですがジョージ・クルーニー氏が主演した「マイレージ、マイライフ」(こちらの原題は「Up in the Air」)という映画も似た傾向にある映画と考えます。
 
マイレージ、マイライフ」では、仕事の関係から出張が多く、スーツケース1つで世界中を飛び回る独り身の中年男性の話。家族を持たず、遊び以上の関係となる恋人もつくらず、1人で仕事を飛び回る、そんな人間関係も荷物の負担も無い、身軽な人生を賞賛する主人公のストーリーです。
 
この類の話が男性にウケるのは、ナンやカンや言って男性は社会的に”抱える”ものが多い人生を強いられる傾向にあるからに他なりません。家族を養い、住宅ローンを支払い、、、と、どんどん男性の肩に身動きが取れなくなる”重し”がのしかかってくる。だから、こそ、ある種の世捨て人のような身軽な生活に憧れてしまうのかも知れません。
 
そんな”身軽さ”に憧れる方には、これら映画はオススメです。決してハッピーエンドでは無いのですが、それも認めてしまえるところに大人としての度量を感じさせてくれる、そんな爽やかもある映画と考えます。〔了〕


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