あたたかい朝食。
朝食にまつわる記憶の中でも、とりわけ印象に残っているのが上野恩賜公園・不忍池に面したホテルでいただいた朝食です。不忍通りを忙しなく行き交う車や人々とは対照的に、緑生い茂る上野恩賜公園の木々が心を安らげてくれます。
この日の朝食が忘れられないのは、私が都内に滞在中、家族が住む自宅地域では大地震の被災で連絡さえままならない状況にあった為です。
既に発災直後の前日に安否確認は取れていたものの、その後の状況が不明。ホテルで手にした朝刊には、明らかになりつつあった被災状況が記載されており一層不安を掻き立てます。
そんな状況の中、心を鎮めてくれたのがホテルでの朝食でした。暖かいコーヒーとスクランブルエッグ、そして窓から見える木々たちのおかげで気持ちが安らいだのを覚えています。
いつもは時間の無い中で慌ただしく食べる朝ですが、休日にゆったり時間をかけていただく朝食はとても心を穏やかにしてくれます。とりわけ、平日に休みを取った日など、カフェでまったりとモーニングを食べながら過ごす朝の時間は贅沢そのもの。
先日、妻とふたりで平日のモーニングに「トーストサンドモーニング ハムタマゴ」をいただきました。メニュー写真と比較して焼き加減が足りないトーストではあったものの、安心感ある暖かさを保つトーストとコーヒー、そして冷たくシャキシャキとしたサラダのコントラストは、良い一日の予感に溢れています。
まだまだ朝は苦手な私ですが、そう遠く無い将来、加齢と共に寝覚めも早まってくるでしょう。
朝食の追求は老後の愉しみにとっておきます。〔了〕