「Shanling」なる中華オーディオをご存知でしょうか

シャンリンDACヘッドホンアンプ:SHANLING UA2 Portable DAC

以前、中華オーディオのドングル型DAC兼ヘッドフォンアンプを935円で買ったらゴミだった話はしましたが、程なくして結局13,000円程の「Shanling UA2」(上記画像)に買い替えました。


しばらく愛用していますが、なんて事はない、はじめからShanling UA2を買っておけば良かったって思いました。やっぱ最低限の費用は払わないとダメなものですね。

  

さて、この「Shanling」(シャンリン:深圳山灵数码科技发展有限公司)なる中華オーディオメーカー、調べてみると歴史が意外に古く、1988年にカラオケ用イコライザー付きアンプの製造から始まったようです。当時は中国・広東省にある中堅都市・掲陽(けいよう)市にある掲陽広播電視大学のキャンパス内で作っていたそうです。

1994年にはフィリップス(Philips)製のCDドライブメカ「CDM-4」を搭載したCDプレイヤー「SCD-939」をリリースします。CDM-4は様々なメーカーに提供され多くのCDプレイヤーに使われた他、現在でもAmazonで補修パーツ入手できる程に一部でファンの多いドライブメカ。有名どころではマランツ等でも採用されたそうですね。Shanlingが本格的にオーディオ指向に振ったという意味では、この1994年がターニングポイントだったのかも知れません。

 

中国・深圳の街並み:Shenzhen

(CC Photo by ZM Yi)

1996年には、中国・深圳市に会社を移して社名も「深圳山嶺電子有限公司」(Shenzhen Shanling Electronics)となります。「Shanling」(シャンリン)という名は「山嶺」から来ているようです(※いくら調べても、これ以前の=創業当時の社名は分かりませんでした)。

会社は深圳に移ったものの、工場は大学のキャンパス内だった掲陽(けいよう)市から、車で4時間ほど西に走った東莞(とうかん)市に移し、深圳に近い距離となります。この頃にはAVアンプも作っていたようですね。

 

その後、2000年に入るまでは基本的にアンプやCDプレイヤーを中心としたラインナップでしたが、2001年に真空管アンプの製造も始めると共に、中国国内市場だけでなく海外輸出も始めるようになります。

2002年にはSACDプレイヤーを、2003年にはハイエンド向けCDプレイヤーを、そして2006〜2008年頃にはヘッドフォンアンプ「PH100」や「PH300」を発売します。

オーディオテクニカのヘッドホンアンプ

(Photo by jhih wei 致惟 Huang黃)

・・・実はこの「PH100」と「PH300」は当時、日本でも当時「2ちゃんねる」等で少し話題になった製品でした。まず「PH100」はオーディオテクニカ製「AT-HA5000」のコピー品といえるもので、続く「PH300」は米国Music Hall Audio社の「PH25.2」のコピー品だったと言われています。共に本家の1/3〜1/2の価格で購入できる事から話題となっていました。

 

shanling ph300

(Photo by Bob OKC)

また、当時ちょうどネット通販の普及が始まった頃であり、中華オーディオの第1次ブームといえる時代でもありました。私がShanlingをブランドとして認知するようになったのは実際もう少し後ですが「あー、ShanlingってあのPH100やPH300のメーカーだったのか・・・」と後に気づくのでアリマシタ。

 

シャンリンのハイエンドオーディオ:Shanling SP-8000 Mono Vacuum Tube Power Amplifier & PS Audio Perfect Wave Transport

(CC Photo by David Hall)

2009年になると、ピュアオーディオに振ったモノラル真空管アンプ「Shanling SP-8000」をリリースします。カラオケ向けのイコライザーやアンプを作っていたメーカーが、ついにここ迄きたか、という感じでしょうか。そして真空管アンプに商機を見出したのか、2010年以降も積極的に展開していきます。

 

ポータブルオーディオ機器SHANLING_M1_01

(Photo by willy wong)

2014年には、初のポータブルプレイヤーとして、やや奇抜なデザインの「Shanling M3」をリリースします。当時は「Shanling=中華アンプ会社」という印象がありましたが、2016年頃になると国内の通販サイトでも割と扱われるようになり、MP3プレイヤーのメーカーとしても存在感が出てきます。「Shanling M2」、「Shanling M1」等のラインナップが揃ってきた時期でした。

2017年には後継機種「Shanling M2S」と「Shanling M3S」が発売され、世界的にかなりのヒットとなったそうです。2018年に発売の「Shanling M0」は超小型でAppleWatchみたいなデザインのMP3プレイヤーとして話題となります。

Shanling UA1への商品リンク


2020年には、USBドングル型DAC兼ヘッドフォンアンプ「Shanling UA1」が発売されます。1万円弱で買えたUA1は、Shanling Music Appなるスマホ用アプリを用いることで、より細かな音量設定や音質調整ができる等、スマホ時代のオーディオ製品です。このアプリ、iOS/Android用アプリ両方あるものの、UA1に対応しているのはAndroid版のみなのが残念。

Shanling UA2への商品リンク


私の持つ「Shanling UA2」は、その後継機として2021年に発売されたモデル(こちらも残念ながらiOS版アプリではUA2をコントロールできない)。UA1とUA2の大きな違いは、UA2は2.5mmのバランス接続に対応した点にあります。

Shanling UA5への商品リンク


そして2022年にリリースされた最新機種が「Shanling UA5」。こちらは4.4mmのバランス接続に対応した更なる本格仕様で、価格もUA2の2倍以上の3万円チョイします。商品価値の向上と共に、少しずつ高級化しているのが分かります。

  

日本のオーディオブランドが軒並み沈みゆく中、反比例してプレゼンスを高めているのがShanlingをはじめとした中華オーディオ各社。寂しい限りですが、オーディオファンの一人としてコスパの良い中華オーディオ(通称Chi-Fi)は目が離せません。

そうそう、Shanling UA2の音質ですが、既に評価がネット上に溢れているので割愛します(・・・そのうち気が向けば)。〔了〕

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