キヤノン「SVレンズ」って何だ?
不意に"例のテーマソング"が聴きたくなって、Amazon Prime Videoで観はじめたジャッキー・チェン主演の映画「ポリス・ストーリー2:九龍の眼(クーロンズ・アイ)」(1988年)。
冒頭の写真は、そんな映画のワンシーンで、警察の捜査チームが乗るキヤノンのサービスカーに偽装した警察車両。・・・よく見ると、見慣れないカメラとレンズが描かれています。
アップになるシーンで一時停止することで辛うじて文字が読めました。
・CANON ZOOM LENS SV11-66mm f/1.8
・CANON ZOOM LENS SV50-150mm (With Macro Mechanism)
・CANON LENS SV3mm f/4
なる表記が。「SV」なんてレンズ、聞いたこと無いぞ、と思ってキヤノン公式サイト「CANON CAMERA MUSEUM」にて検索するも出てこない。
調べてみると「SV」とは「スチルビデオ (Still Video)」の略で、1986年にリリースした世界初の磁気記録スチルカメラ「RC-701」用のレンズであることが判明します。
※てっきり、世界最初の磁気記録スチルカメラはソニー「MAVICA」(1981年)と思っていたら、マビカはあくまで試作機であって、市販されたカメラとしてはキヤノンが世界最初との事。
※「SV=スチルビデオ」というように、デジカメの初期はアナログ方式のビデオカメラを使って静止画を1コマずつアナログ記録していくというもので、いわゆる現在の「デジタルカメラ」とは仕組みが異なるものになります。
・・・とまれ、レンズを見て気になるのが3つ目の「SV3mm f/4」なる単焦点レンズ。カメラ本体RC-701のセンサーが2/3型CCD(38万画素)でしたので、いわゆる35mm判換算でいう「12mm相当」の超広角レンズとなる訳ですが、どうやらこのワンボックスカーに記載されたレンズ表記は誤記のようで、正しくは、
【誤】CANON ZOOM LENS SV11-66mm f/1.8
【正】CANON ZOOM LENS SV11-66mm f/1.2
【誤】CANON ZOOM LENS SV50-150mm (With Macro Mechanism)
【正】CANON ZOOM LENS SV50-150mm f/2.8
【誤】CANON LENS SV3mm f/4
【正】CANON LENS SV6mm f/1.8L(←Lレンズ!)
が正しいようで・・・全て誤記なのか、それとも敢えて違う記載にしたのかは分かりませんが、それにしてもSVレンズなんて初めて知りました。
また、ここには記載がありませんが、他にもSVレンズとして
・CANON SV13-52mm f/1.8
なるレンズも存在し、合計4本のレンズがリリースされたそうな。
とはいえ、「SVマウント」なんて聞いたこと無いな、と思ったらマウント自体はFDマウントを用いていて、小さなセンサーサイズに対応できる画角のレンズをSV用として出していたようです。
・SV11-66mm f/1.2 = 換算43〜260mm相当
・SV50-150mm f/2.8 = 換算197〜590mm相当
・SV6mm f/1.8L = 換算24mm相当
・SV13-52mm f/1.8 = 換算51〜205mm相当
と35mm判換算値で見ると納得できる画角ではないでしょうか。
この映画が公開された1988年は、日本におけるジャッキー・チェン人気の絶頂期。その恋人役の張曼玉(マギー・チャン)も、とてもチャーミングで微笑ましい作品です。
そうそう、当時のジャッキー・チェンと言えば、河合奈保子に心底惚れていたようで、再三アプローチしていたのは有名な話しですね。ちょうど2人でデュエット曲「愛のセレナーデ」を出していた頃でもあり、色々と趣き深いです。〔了〕