MOディスクのデータを取りたいダケなのに
とある事情があって30年近く前のMOディスク(それも一部のディスクはセクタ不良を起こしている)からデータのサルベージが必要となりました。
結論から言うと、中途半端にデータのサルベージは出来たものの、一部は回収しきれておれず、継続課題となりました。昔なら簡単に出来たことも、今となっては古い規格の制約を受けてとても難儀しています。
もし、皆様のお手元にMOディスクやZipドライブ、古いHDDドライブ等が眠っておりましたら、お早めにデータのサルベージをお勧めします。
- - - 以下、備忘録。ものすごく長文 - - -
今回用いたMOドライブはかつて存在した株式会社ICM製のSCSI規格なドライブ。ICMは安価なHDDやMOドライブ等を販売していた大阪にあった会社で、1996年に破産しています。私はMac用として使っていましたが、当然、そんな昔の機器のドライバーなんて今はありません(あっても現在のOSには対応できません)。確か1995年頃に購入したものと思いますが、とりあえず電源は入ることを確認。・・・うん、我ながら物持ちが良い。
そのMOドライブですが、採用されているSCSI端子のままでは読み込めないので、これをUSBに変換する必要がある訳ですが、用いたのは米国Microtech International社製「USB XpressSCSI」なる製品。
当時は初代iMacが出て、世界中で大ヒット。このiMacのヒットによりUSB規格と無線LANが普及したと言って過言じゃありません。「iMacにはSCSI端子が無いらしいが大丈夫なのか?」と心配されたものですが、サードパーティ各社からSCSIをUSBに変換するアダプターがたくさん出たという訳です。
この「USB XpressSCSI」も、その1つ。1999年にJR札幌駅の高架下に存在した「T-ZONE 札幌店(Mac&アウトレットショップ)」で購入した記憶があります。まだ持っているとは、我ながら”捨てられない症候群”ですな。
さっそく、変換アダプターである「USB XpressSCSI」をMOドライブに繋げ、M1 MacBook Airに接続するも・・・MOドライブを認識せず。当時はMOディスクを「HFS(Mac標準フォーマット)」でフォーマットしていた訳ですが、HFSのサポートは「MacOS X 10.11 El Capitan迄」(読み出しのみ。読み書きのサポートはMacOS X 10.5 Leopard迄)とのこと。私の使うM1 MacBook Airは「macOS Monterey」(12.4)の為、ダメなようです。うーむ。
※一応、下記サイトによると、この変換アダプターを使ってMacOS 10.3.8でHDDのマウントに成功している様子。とくにドライバは必要ないようで。
我が家の押し入れには古いMacが何台かあるので、これを使ってみる事にしました。オールドマック「Macintosh Classic II」です。「漢字Talk 7.5」の時代(1990年代前半)の老体。
・・・が、ここで次の問題が。
MOを認識させても、そこから外にデータを持ち出すことができません(USB接続の外付HDD等は使えませんし、ましてネット経由でデータのやり取り等もっての外。かろうじて10BASE-Tの有線接続はでき、TCP/IPこそ認識できてもブラウザがNetscape Navigatorの時代ですから、クラウドに接続してデータのアップという訳にもいきません)。
うーむ。うまく行かないものですね。
さて、めげてもいられません。そうなると、今度はUSB端子がついた1998〜2004年頃の「Mac OS 9」辺りを搭載したMac本体が必要となります。
部屋を漁ると出てきたのが、2001年頃に出た「iBook (Dual USB)」。起動してみるとMac OS X 10.4(Tiger)が起動します。確か購入時はMac OS 9だった筈。
先述のMOドライブをSCSI-USBアダプター経由でiBookに接続すると、無事にMOドライブが認識され、MOディスクの中身が読み込み可能となりました(!)。
これで無事解決♪・・・と思いきや、サルベージすべきデータが入った幾つかのディスクがマウントできず読み込みが出来ません・・・MacOS X上のディスクユーティリティで調べるも、途中でエラーになり正しく修復ができない様子。
そこで、今度は旧MacOS 9時代にお世話になった「Norton Utilities」を起動して、認識できない幾つかのMOディスクを正しくマウントできるよう修復を試みます。
・・・ところが、iBookにはClassic環境が入っていない事に気付かされます(Mac OS Xでも10.4迄は「Classic環境」と呼ばれる、いわゆるエミュレーター機能で旧Mac OS9を動かすことができます。まさに私のiBookは、そのギリギリのOSを搭載していた訳です。捨てなくて良かった)。
MacOS 9のOSディスクはどこにあったかな?と部屋を探しまわるも見つからず。そういえばMac OS9はAppleが公式にネット上に公開していたのを思い出し、探してみると、、、まだ残っていました「NetBoot for Mac OS 9」が。
上記、2003年の情報なので、約20年近く残っていた訳ですね。まだ入手できて良かったです。「NetBoot for Mac OS 9」のインストール手順はこちらのサイトが分かりやすいです。私もエラーが出て焦りましたが、フォルダのアクセス権を変えるだけで無事に起動。
さて、Mac OS 9もエミュレーター上にインストールできたので早速MOディスクの修復に入ります。「Norton Utilities」を立ち上げて・・・と思った矢先。「このアプリケーションまたはコントロールパネルはClassicに対応していません」なるエラーメッセージが。
嗚呼、そうだ、思い出した、所詮エミュレーターなので、こういうI/O部分といった部分までは動かなかったんだ、と20年以上前の記憶が蘇る。
またまた押し入れからオールドMac「Macintosh Classic II」を引っ張り出すも、どうも動作が怪しい。この時代、まだマックは爆弾マークが出る不安定な時期で、セクタ不良のMOディスク(当時としては、物凄い大容量な128MB)を直しきる程に、OS自体が正しく動いてくれません。
ぐぬぬぬ。。。ここまで費やした時間、はや2日(土日を丸々、費やした)。
単純にセクタ不良が出ているMOディスクの中身を読み出したいダケなのですが、こんなにも難儀するとは思いもしませんでした。。。手元にMacOS 8.5のCD-ROMは見つかったので、古いMacにインストールしてエミュレーターでは無い、真の旧MacOS環境を構築していくしか無いのかも知れません。
いや、よく考えると、未だ問題の切り分けもロクに出来ていない事に気づきます。MOドライブの物理的な故障なのか、SCSI-USB変換アダプターの問題なのか、ドライバーの不適合なのか。それとも単にセクタ不良を修復すれば(できれば)良いだけなのか。OS側の問題なのか。etc
・・・たった数枚のMOディスクの中身を見たいだけなのに、まだ道のりは長いです。
デジタルの弱点は少しでも規格が古くなると途端にデータの取り扱いが厄介になることですね。
例えば少し古いデジカメにあった「xDピクチャーカード」とか、もっと古いのだとメモリは内蔵のみでRS-232Cでパソコンとカメラを直結してデータ吸い出しとか、どうやって画像を取り出せるのか。なかなかチャレンジングな課題だと思いませんか?〔了〕