写真におけるAI脅威論は未だ遠い(?)
1984年に公開され大ヒットとなったSF映画「ターミネーター」。映画では軍用コンピュータのAI(人口知能)が自我を持ち、これに恐怖した人間が機能停止を試みたところ、AIへの攻撃と見做されてAI側が核戦争を仕掛けるところから物語は始まります。
折しも前年、自動で攻撃判断を行うイージスシステムが米海軍に配備が開始された事からも、AIの攻撃に不気味なリアリティを感じる時代感でもあったのかも知れません。
こうしたAIが人類に牙をむく「AI驚異論」は形を変えつつも現在に至る迄、脈々と続いており、AI化の波は「写真表現」の分野にまで侵食を始めています。
顕著なところではスマホ搭載カメラ。近年、AIによる画質向上を謳う機種が出てますが、基本的にはカメラ側が被写体に最適な露出やカラーバランス等を調整するもので、今後はスマホのみならずミラーレス一眼カメラ等への拡大も予想されます(ただ、これをAIと呼ぶべきか単なるアルゴリズムと呼ぶべきか悩ましい所ではありますが)。
数年後、AIが最適化した写真だらけになった時、それは「真」を「写す」と言えるのか議論を呼ぶかも知れません・・・が、現況を見る限り人類が脅威に感じるには未だ程遠い印象です。
先日、仕事の関係で室内インタビュー撮影を行った際、ストロボCanon 470EX-AIを用いたところ「そのストロボは何故自動でクルクルと回転するの?」と興味を持たれました。470EX-AIは、被写体との距離と天井までの距離を計測し、自動で最適なバウンス角度を定めてくれる便利なストロボです。
バウンス角度はある程度の撮影経験があれば体感的に判断できる事から本製品は「向上心の無い怠惰な初心者向け」の意で揶揄されがちですが、「この位で大丈夫かなぁ?」という自信に欠けた不安心理を払拭し、最適解となる基準例を提示してくれる意味で私は470EX-AIを重宝しています。
そんな470EX-AI、自動で最適解を判断してくれる事から商品名の「AI」は人工知能を意味すると思っていたら&人工知能の侵食はここまで来たかと感慨深く思っていたら、商品紹介ページに小さく注記アリ、正しくは「Auto Intelligent」(自動制御)との事。これを人工知能と読み取るのは、あくまでミスリードな訳でありまして・・・
当面はAIによる写真表現への侵食は無さそうで安心な反面、私のような下手クソな撮影者にとってはAIのチカラも味方に付けたいのも事実であり、むしろAIによる侵食を期待しているフシがあるのも正直なところです。〔了〕
※この投稿はChat GPT登場前、2020年9月に書かれたものです。