テクノと弾丸列車の親和性

Bullet train

英国のテクノ&エレクトロニック音楽ユニット、ケミカル・ブラザーズ。彼らの楽曲「Star Guitar」(2002年)で使われたPVは、フランス南部の都市ニームから東部のヴァランス迄を走る電車の車窓を只管に映すという独特なもので、当時とても話題になったのを覚えています。



PVを観ると、楽曲と車窓の風景が徐々にシンクロしていき、不思議な感覚になります。初見こそ簡単な手抜き映像と思ったのですが、何度も観ていくうちに、緻密に計算された編集であることに気付かされます。実際、後日談として光の具合を調整するために計10回も撮ったと聞いた時には唸ってしまいました。


NINOHE Station.

先日、久しぶりに新幹線に乗る機会がありました。札幌に住んでいると新幹線は縁遠く、実際私が新幹線に(一駅だけとかでは無く)ちゃんと乗ったのは僅か3年前で、通算でも未だ片手程しか乗車経験がありません。

そんな新幹線で移動中にいつも感じることが2つあります。


HOKKAIDO SHINKANSEN bullet train.

1つは新幹線という「ネーミング」。1930年代に端を発する次世代の高速鉄道網としてスタートした計画は、当時一般には「弾丸列車」と呼ばれていました。まさに弾丸の如く突き進む高速鉄道をイメージしたネーミングですが、戦況の悪化で計画は頓挫。戦後に「新幹線」として実現に至る訳ですが、空気抵抗を切り裂いて高速に突き進む姿はまさに「弾丸列車」の名こそ相応しいと感じます。


Bullet train.

2つ目に感じることは、テクノやエレクトロ音楽との相性の良さ。足元でゴーッと響く線路と車輪の硬質な音や振動はインダストリアル感と緻密感が合間って、さながらウーハーのように身体に響いてきて心地良さを倍増してくれます。


Bullet train.

冒頭で紹介したケミカル・ブラザーズの映像は、90年代後半に少しだけ一般にも普及したDVビデオカメラで撮影されたとの事。

昨今のスマホ等、電子シャッターしか搭載されていないカメラで撮影するとローリング現象で風景が歪んでしまい、PVのようには撮れない点に注意ですね。〔了〕