気になり出すと止まらない、レンズ歪曲補正


「Unforgiven」(アンフォギヴン)という英単語があります。

 
「forgive」(許す)の過去分詞形forgivenに接頭辞 Unが付いて打ち消す表現になっているUnforgivenは「許されていない」状態を表します。この単語をそのまま タイトルに関したのが、クリント・イーストウッド氏の監督映画「Unforgiven」(1992年:邦題「許されざる者」)。 
 
誰しも「許されざる者」(物)はあると思いますが、カメラを手にした時の私にとってそれは「歪曲収差」に他なりません。上記動画での比較でも、正直どれ位の明確な差があるか微妙な程のレンズ補正ですが、私にはこれが 気になって気になって仕方がないのです(苦笑)。
歪曲収差の補正前の写真 
 
歪曲収差の補正後の写真
上記写真(上段Before/下段After)はカメラ本体Canon EOS Kiss X7(2013年製、APS-C、約1790万画素)に、レンズCanon EF 24-70mm f2.8L II(2012年発売)を装着して撮影しています。

撮影データは焦点距離41mm、絞りf2.8、シャッター速度1/160、感度ISO100という状況で、これを単純に35mm判換算すると、焦点距離65mm相当&絞りf4.0相当と言えるでしょうか。

カメラも上記モデルであれば撮影時にレンズデータから自動補正してくれますが、この撮影時に使ったEOS Kiss X7は入門機なのでレンズ光学補正は周辺光量補正と色収差補正の2つしか搭載されていませんので、撮影後にソフトウェア側で補正を行いました。
 
この時に用いたレンズの焦点距離では、顕著な差は見られませんでしたが、それでもレンズの歪みは心の歪みを写す合わせ鏡のような存在と感じており、無性に補正せずにはいられなくなります(苦笑)。
  
 
さて、冒頭で紹介した映画「許されざる者」の監督クリント・イーストウッド氏が手がける映画のテーマには単純な善悪で判断できない物事の深さを扱ったものが多く存在します。

同様に写真も単純に善悪が判断できない世界であり、時には歪曲収差さえレンズの持つ特性や味といった表現の1つである点も事実。写真趣味はかくも奥の深い愉しみが広がる世界である訳ですね。〔了〕

書籍「カメラとレンズのしくみがわかる光学入門」表紙