共生社会におけるキツネ狩り
「キツネ狩り」と聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか。
銃を用いずに猟犬を放って只管キツネを追い詰め、最期は猟犬にキツネを噛み殺させるというブラッドスポーツの一種。最も盛んに行われていた英国でさえ、2005年に違法となった残虐なスポーツです。
私たち日本人が一般的にイメージするところの狩猟、いわゆるライフル銃を手に獲物を仕留める形態では、キツネでは無くシカのような、ある程度のサイズ感を伴う動物をターゲットとしています。
ターゲットがキツネであれシカであれ、娯楽を目的に動物を直接的に自らの手で殺傷することに興味はありませんが、さならがライフル銃のように生息するキツネやシカを望遠レンズで狙って撮影する「ハンティング」を趣味のひとつとしています。
無用な殺生はしない、これぞ共生社会の時代におけるハンティング法。
野生のキツネを撮影するには、日の出まえの早朝が最適。この日は、日の出が朝7時だったので、その30分前にはキツネの生息しそうな場所に到着し、キツネの姿を探しますが1匹しか見つけることが出来ませんでした。
基本的に夜行性である彼らを撮影するには、日の出の直前である薄っすらと周囲が明るくなってきた時間帯から、太陽が顔を出すまでの15分程度。それより前だと暗すぎて写せませんし(&夜に遭遇すると威嚇されて怖いし)、それより後だと彼らの活動時間を過ぎてしまいキツネの姿を見つけること自体が困難になるためです。
僅かにシャッターチャンスとなる15分程の間に、キツネを探し出して撮影まで行うのは中々苦労するものです。この日も私の他にもう1名、500mm級の超望遠レンズを手にしたカメラマンが居ましたが、彼は遭遇できずに帰っていったようでしたから、いわゆる釣りで言うところの「ボウズ」(1匹も釣れない)の覚悟も必要です。
私の持つ望遠ズームレンズSIGMA 70-200mm f2.8 APO EX DG HSMは、所詮200mmなので野生動物の撮影では距離が全然足りません。足りない分はどうするか・・・もう脚で稼ぐしか無いので、この日も雪の中をザクザクと埋もれながら進んでいきました。
脚で距離を詰めるか(=当然、逃げられやすくなる)、それとも大枚はたいて更なる超望遠レンズを購入するか。とは言え、前述のように超望遠レンズを手にしても、そもそも遭遇できなければ無意味ですからね。
いずれにせよ野生動物の相手は楽ではありません。それが醍醐味なのですがね。〔了〕