斉藤由貴の長女、水嶋凛が歌う「予感」


元アイドルであり女優であり歌手でもある斉藤由貴の長女は「水嶋凛」名義で女優としての活動をはじめたのが話題となっていました。

母親によく似ていると評判ですが、斉藤由貴ファン歴35年以上の私からすると、確かに顔のパーツ的にはよく似ているものの、全体的な雰囲気が(時代もあってか)異なるので、それほどイメージが重ならないのが正直なところです。

 


さて、そんな水嶋凛は、かつて母親が人気絶頂期の1986年にカルピスのCMソングとして歌った「予感」という曲で歌手デビューしました。

私は「歌手」としての斉藤由貴のファン(映画やドラマは殆ど見たこと無いの)で、そういう意味でも水嶋凛の歌手デビューには期待大です。

なにかと母親と比べられる状況かと思いますが、歌い方や雰囲気は全く違っていて、良い意味で無理のない穏やかな歌い方で、とても良い曲。

プロデューサーは母親のときと同じく、武部聡志氏が担っているので、透明感や清涼感のある曲に仕上がっているのが良いですね。水嶋凛さんのこれからの活躍に期待です。

  

さてさて、ここから斉藤由貴にまつわる話を少々。(ここからが長い)

曲としては「卒業」や「悲しみよこんにちは」等が有名で、この「予感」という曲は正直かなりマイナーな曲です。

先述のようにCM曲でありながらシングルカットされることなく、アルバム「チャイム」(1986年)にのみ収録されている楽曲で、余程熱心なファンでも無い限りピンと来ない曲でしょう。そのアルバム「チャイム」も、メインとなる曲は大ヒットした「悲しみよこんにちは」で、「予感」はお世辞にも目立たず埋もれています。

 

少しややこしい話をすると、アルバム「チャイム」(1986年)にはLPレコード盤とCD盤があり、この2つで収録楽曲が異なります。純粋に「チャイム」というアルバムはLPレコード盤で、CD盤はどちらかというとLP盤に、シングル「青空のかけら」のA面曲・B面曲組み合わせた編成となっています。

そうした意味で、本来的なアルバムは(そして当時の主流は)LPレコード盤でしたので、CD盤は(LP盤より2曲追加されているにも関わらず)何方かと言えば「邪道」扱いをされていました。実際、そのCD盤も2009年に高音質HQCDで再販される際にはLPレコード盤の楽曲編成に組み直してリリースされた程でした。

 

・・・なぜそんな細かい話をしているかというと、LPレコード盤であるアルバム「チャイム」は1曲目が、この「予感」で始まるのです。

ご承知のようにレコードが主流の当時は、アルバムの楽曲順に聴くスタイルが一般的で、その編成には相当な工夫や趣向が凝らされていた時代。アルバムのオープニングを飾る1曲目というのは、今では想像できない程に深い意味や想いが込められていた時代でもありました。

実際、1曲目を飾る「予感」は斉藤由貴自身が作詞を担当しており、そうした意味でも想いの強い曲だったのかも知れません。

 

そんなこんなで、母親である斉藤由貴からの文脈で考えると、デビュー曲に「予感」を選んだ水嶋凛は、中々に玄人好みであったりして、オジサンは嬉しくなる訳であります。〔了〕