最近の曲は、1曲が短い傾向にある。

YAMAHA NS-2 (1995).

最近の曲は、1曲が短い傾向にありますね。


宇多田ヒカルやMr.Childrenらがミリオンヒットで活躍した1990年代後半から2000年代初頭にかけてのJ-POPの黄金期においては1曲あたりの平均時間は約4分30秒〜5分と言われています。

これが、2010年代に入ると約4分程度と短くなり、2020年代の現在には平均3分30秒〜4分程度と更に短くなります

こうした1曲あたりの時間が短くなる傾向の理由としては、リスニング環境の変化が大きいとされています。かつては主に部屋でCD再生装置を介して聞かれていたものが、やがてMP3プレイヤーとなり、更に現在ではスマートフォンに置き換わっていく過程において、通学中や通勤中など、いつでもどこでも僅かな時間枠でも聴かれる傾向になった事が大きいと言われています。

加えて、音楽のビジネスモデルがストリーミングサービスが主体となる中で、再生回数の多い方が収益性が高くなる経済的合理性も後押しします(実際、ストリーミングサービス各社は短い楽曲を推奨している)。他にも年代層を問わず、現代人全般がアテンションスパンの短縮化傾向にあり、短い曲の方がリスナーに好まれる傾向もあるようですね。


そんな事をふと思ったのは、先日リリースされた幾田りらさんの新アルバム「Sketch」を1曲目からアルバムの最後まで通して聴いた際に、思いのほか短く感じた為でした。

実際、全11曲・47分36秒。それこそ、1990年代にアルバム1枚を通して聴こうとしたら、およそ1時間枠というのが感覚値でした(実際、昔はよく64分のカセットテープを購入してアルバムを録音していたものです)。

 

音楽のデジタル化以降、シャッフル再生という新しいリスニング体験が話題となりましたが、ストリーミングサービスが主流となった現在では、プレイリスト再生が最も主流となりました(実際、Spotifyが2018年に発表した調査では、ユーザーのうち1日あたり平均1.5回プレイリストを聴いていると回答している他、Apple Musicが2020年に行った調査でもユーザーの67%がプレイリスト再生を利用していると回答しています)。

そうした時代に於いては、スピーカーでじっくり腰を据えて音楽だけを聴く、それもアルバムの1曲目からラストまで通して聴くというのは、なかなか贅沢な時間の使い方なのかも知れませんね。

  

Domaine LAFAGE Cote Est Blanc.

この日のは、ちょうど天候もイマイチな休日だったこともあり、昼間っからワイン飲みながら音楽鑑賞に浸ります。選んだワインは南フランス産「ドメーヌ・ラファージュ・コテ・エスト・ブラン」。日本ではイオンで取り扱いしている1,500円弱/本のお手頃ワインです。

ドメーヌ・ラファージュ社(Domaine Lafage)は、フランス南西部にあるワイナリーですが、2000年代以降に各種の賞を獲得する等して急速に人気を高めたようで、主に、アメリカやイギリス、ドイツそして日本において安価なデイリーワインの生産者として広く知られています。実際、とても飲みやすく心地よく酔えるワインでした。

 

・・・話を音楽に戻すと、私のようなアラフィフおじさんは正直いってあまり最近の若い人の曲を聴きません。

しかし、そんな中でも幾田りらさんの歌声は、非常にテクニカルな歌い回しなのに素直な声質なので嫌味が無く、私のようなおじさんでも安心して聴ける訳です(笑)。レコーディングも相応に気合いを入れているのか、とても高音質で澄み渡る音色と声色が心地よいですね。そして、何よりも1曲あたりの時間が適切に短いので実に聴きやすいです。

「はやりうた ときの息吹を 感じ流るる。」〔了〕