情緒を感じる、マランツのアンプ。


デジタルネイティブな若者世代にヴィンテージ&アナログがブームとなって久しいです。中でもデジタル化の流れが早かった「音楽」は反動も顕著に表れているのか、レコードやカセットテープといった古いスピーカーやアンプも人気です。


いわゆるヴィンテージ趣味として古のスピーカーやアンプ、プレイヤーをレコード全盛期の1960〜70年代な「当時モノ」で設えるのは素敵な試みと考えます。

若者にとって今や(DJ用では無い)純粋な音楽鑑賞用ターンテーブルが置かれた空間は、その持ち主のセンスの良さを象徴するアイテムになっているばかりか、過去の音楽に対するリスペクトを表す文化的なアイコンなのだとか。

 

そうしたヴィンテージオーディオの中で最近よく目にすると感じるのが1970年代の古いマランツ製アンプです。

冒頭の画像は札幌の繁華街ススキノにある某バーですが、この店では2台の古いマランツ製アンプ「Model 1250」と「Model 1070」が使われていました。ともに1976年にリリースされた50年近い年月の経過した骨董品ですが、この頃のマランツ製アンプを最近よく見かけます。。

当時のオーディオ機器は、家具調の外観が特徴的で、上記画像のアンプも上下左右が木目パネルで覆われています。80年代のデジタル到来と共にオーディオ機器の外観もメタリック&プラスチック樹脂へと急速に置き換わる過程に於いて、古臭い家具調の外観を持つオーディオ機器は市場から退場を強いられます。

加えて、音質的にも60年代の真空管アンプや70年代のトランジスタアンプはCDの登場により精細さを欠いた「粗」が目立つようになります。マランツのような高級機でさえ、デジタル時代より前の古い機器は二足三文といった時代が長らく続きました。

・・・それが最近では一変。前述のアンプModel 1250など整備品であれば10万円を超える立派な価格で取引されています。

デジタル時代の到来以降、精細さで物足りない印象を受けた真空管アンプや古いトランジスタアンプの音質は逆に「温かみがある」と、新鮮さを持って受け入れられています(とくに若い世代に)。

 

さて、そんなマランツは創業70周年にあたる今年(2023年)、デザインを大胆に一新しています。マランツは過去70年の歩みの中で何度か大きなデザイン変更を経ていますが、どの時代の製品も情緒のあるデザインがステキ。

見た目のよいオーディオ機器は音質まで良く聴こえる心理的作用というのは眉唾のようで本当だと思う昨今です。〔了〕