プラグマティックを超えたカメラ「R-D1」

エプソンのレンジファインダーカメラ「R-D1」

エプソンが2004年に発売した世界初デジタルレンジファインダーカメラ「R-D1」(当時30万円程)は、非合理でイデアリスティック(理想的・観念的)な感じが魅力のカメラです。

 

エプソンのレンジファインダーカメラ「R-D1」

エプソン「R-D1」はデジカメなのにフィルム巻き上げレバーを操作しないとレリーズ出来ないシャッターチャージ機構や、撮影可能枚数がアナログメーターによる感覚値で表示される等、トチ狂った設計がマニアックな人気を誇るカメラです。

発売当時、少し興味持ったものの高価格故に買えませんでした。当時はキヤノンのフラグシップ機「EOS 5D」(初代)に近い価格帯であり、プラグマティック(実用性)に考えるとR-D1は購入対象となり得ません。

 

エプソンのレンジファインダーカメラ「R-D1」

時は流れ10年後の2014年、「R-D1」は販売終息に。細かい派生モデルはあったものの「R-D2」なる後継機種も無いまま一代で幕を閉じた「R-D1」。終息の報せと共に一時期はヨドバシカメラ等で実売10万円を切る投げ売り状態となりました。

  

Canon EOS 7D Mark II

まさに「時が来た」想いも、10年落ちのデジカメは絶対的な性能の弱さもあり興味が持てず。投げ売りされているR-D1には目を向けず、プラグマティック思考で当然のように「EOS 7D MarkII」(当時15万円)を購入します。

 

そこから更に10年が経過したのが今年(2024年)。先日ふと「R-D1」を思い出し、今なら中古で6〜7万円も出せば買えるのでは?と軽い気持ちで中古を見てみると・・・ナンと、20〜30万円が相場と知り愕然修理受付も2024年3月で完全終息したのに値上がり続く状態!)。

各種作例を見ても明らかにダイナミックレンジが狭く、610万画素しか無い粗い画質のカメラにも関わらず、この人気。好事家はいるもので、まさかこれ程まで高値になるとは思いもよりませんでした。


単に綺麗な写真であればスマホで撮れる昨今、プラグマティックな思考だけでは判断できない、いわばイデアリスティックな「価値」が求められるのは趣味性として成熟の証しなのかも知れませんね。[了]

 

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