人生の宿題、 28mm未満のパースペクティブ
カメラの「広角レンズ」と言って真っ先に思い浮かべる焦点距離は何mmでしょうか。私の”感覚値”では、概ね「28mm」が広角レンズの中心軸という印象を持っています。
(Photo by Phùng Chí Hiếu : Flickr)
そんな「28mm」の世界で高名な”銘玉”が3つあると考えます。その筆頭は言わずもがな「ライカ・エルマリート(ELMARIT) 28mm/F2.8」(税込¥280,800)。1965年に初代がリリースされて以来、小変更はありつつも基本的に変わらず、現在でも売られている驚きのロングセラーです。
(Photo by ebelbeb : Flickr)
もう1つは「カールツァイス(Carl Zeiss) ビオゴン(Biogon) T* F2.8/28mm ZM」(上記写真はCONTAX時代のビオゴン 2.8/28 T*)。艶やかな描画は今なお高く支持されていますよね。
そして最後はコンパクトカメラの「リコー・GR1」(1996年)。28mmという広角の写す世界は、街中のスナップ撮影に最適解のひとつなようです。
私は長年、キヤノン「PowerShot G11」と「PowerShot G1X」というコンパクトデジカメを愛用していますが、これらの共通点に広角端が28mm相当で、気軽に収まりの良い写真が撮れると感じています。
一方、パナソニック「DMC-LX9」というコンパクトデジカメも持っていますが、こちらは広角端が24mmと、若干ですが更に広角になっています。また、一眼カメラ用にはキヤノンの交換レンズ「EF24-70mm F2.8L II USM」という広角端24mmを持つレンズも愛用しています。
28mmと24mm。・・・僅かな違いではありますが、私にはどうにも24mmは収まり悪く、長年使っても未だしっくりと来ていません。24mmで撮る度に内省を繰り返すものの、どうにも私は28mmよりも短い焦点距離に苦手意識があるようです。
写真家・田中長徳氏は「21mmや24mmは(中略)一歩間違えると、カッコつけた写真になる。その点、28mmは広いけどナチュラル」と語っていたのは印象的。
(EF24-70mm F2.8L II USM 広角端24mmでは16:9で撮影)
苦肉の策、昨今では24mmなど広角側の撮影時にはアスペクト比16:9を多用し、撮影範囲を幾分か狭める事で“収まりの悪さへの逃げ”を打つようになりました。
かくして人生の宿題に、28mm未満のパースペクティブ克服が加わった訳です。〔了〕