レンズは資産である、バランスシートにおいても。
「レンズは資産」、カメラ趣味人の常套句として用いられる言葉です。
カメラ本体(ボディ)は消耗品でも、レンズは長きに渡って使えることを意味するこの言葉。デジタル時代になって尚更説得力のある言葉ですが、そう自分を説得するようになったら、それは末期症状と見られていました。
・・・とは言え、ここに来てあながち「レンズは資産」は嘘では無く、換金性の観点からも現実味を帯びてきた感がしています。
それは、キヤノンがかつて展開していたFDレンズ(1970〜1979年)とNewFDレンズ(1979〜1989年)の価格が、ここ数年上昇を続けている為です。価格コムのようなサイト上でデータベース化されていないので気付きにくいですが、日々、中古相場を追ってる私をはじめとした一部マニアの方々は、その値動きにお気づきと考えます。
これは昨今のミラーレス機台頭により、古のレンズ群がマウントアダプター経由で難なく使えてしまう、ある種のイノベーションがベースにある訳ですが、フィルム写真ブームも加わって、改めてFDレンズ・NewFDレンズの価値が再評価された結果と言えます。
具体的な例を見ると、キヤノンが1982年にリリースした魚眼レンズ「NewFD14mm F2.8L」は、当時297,800円で売られていました。
これを約40年後の現在価値に換算すると、消費者物価指数比較による換算で約353,000円弱(約1.2倍弱)。大卒初任給比較による換算では約303,000円(約1.02倍)、更にGDP比較による換算では(驚くことに)289,000円弱(約0.97倍)と値減りする始末。・・・長引く日本の低迷を改めて実感します。
さて、そんな1987年の「NewFD14mm F2.8L」、現在の中古相場というと約350,000〜400,000円前後。元々、個体数が少ない特殊レンズな為、マーケット自体が確立されていないものの、新品同様の個体には500,000円近い値がつく事も珍しくはありません(!)。仮に300,000円の値が付いたとして118%、400,000円なら134%、500,000円なら168%もの価値になり、これはもう紛れもなく換金性の高い「資産」そのもの(!?)。
全てのレンズがこうした価値がつく訳ではなく、価値が付きやすいのはキヤノンのラインナップではいわゆる高級ラインナップの「Lレンズ」あることが重要なようですね。
・・・と、ここまでの話を会計のバランスシートに当てはめて考えてみると・・・キヤノンユーザーの場合、バランスシート上の資産を増やすには「Lレンズをローンで購入する」が正解のようですね(!?)。各ショップが展開する「60回払いまで金利0%」のようなキャンペーンを利用できれば尚更です(!?)。
私も次に欲しいLレンズが出てきた際はローン購入を検討してみたいと思います(笑)。
さて、なにか色々と違う気がしますが(苦笑)、とまれ、ミラーレス機になって旧世代なオールドレンズを含め、魅力的な選択肢が増えるのは良いことです。
冒頭の画像も1968年製のキヤノンFL50mm F1.4IIをAPS-C機なEOS Kiss Mに装着したものですが、換算80mmの中望遠・絞りF2.0に相当する、なかなか面白いレンズとなります。いまでは見かけることの少ない金属製レンズ鏡筒の硬質な手触りも趣き深いものです。
前述のように一部のFDレンズは値が上がって来ていますが、その他の大半は二束三文。いい個体もかなり少なくなってきていますので、今が狙い目なのかも知れません。驚くことに、最近でも稀にメルカリ等でデットストック品とか見つかりますからね。〔了〕