斉藤由貴、HQCD盤とUHQCD盤の違い


過去に何度か触れていますが、私は歌手・斉藤由貴の大ファンです。


斉藤由貴のアルバムは過去に何度も再販され、ファンは当然のように都度、買わせていただく訳ですが、その中で冒頭の画像に示した再販「HQCD盤」と「UHQCD盤」の商品区別が曖昧・混同した記載がネット上で散見されます。

以下、私の認識であるため誤りがあるかも知れませんが、2009年発売「HQCD盤」と2016年発売「UHQCD盤」の違い、とりわけ音質面での違いについて紹介します(かなりマニアックな記事です・・・)。

  


上記は「HQCD盤」(2009年)と「UHQCD盤」(2016年)の音質比較を行なったものです(因みに上記動画の左側に誤記があります。「HQCD盤」のMAYはアルバム「Yuki’s Museum」再販に収録されたものです)。

・・・ど、どうでしょう、差は感じられたでしょうか。(^_^; )

かな〜り微妙ですが「UHQCD盤」(2016年)の方が気持ち若干繊細で解像度のある音色になっています(ヘッドフォンで聴いて辛うじて分かるかどうかの違い)。良い意味でUHQCD盤はオリジナルを弄り過ぎないリマスタリングと分かります。

 

尚、本来直接比較するにはCDの音源(CD-DA)をMacにそのまま取り込んでしまえば良いのでしょうが、流石にデジタルtoデジタルな音源をアップするのは権利的に躊躇しました。そこでCDプレイヤーを介して一度アナログ変換を経た音源をデジタル再収録しています。


最終的には上記をMP4変換する際に更にAACコーデックで再出力している為、どうしても録音機である「ZOOM H6」のA/D変換性能やMP4圧縮時の音質に依存してしまって音質的な差があまり感じられないのですが・・・本来は「もう少し」分かりやすい差があります。

 

以下、具体的に「HQCD盤」(2009年)と「UHQCD盤」(2016年)は何が違うのか整理してみました。


【HQCD盤(2009年)】

・斉藤由貴 デビュー25周年を記念してアルバム13枚を再販

・高音質HQCDを採用

・紙ジャケット仕様、歌詞カードはリリース当時(1985〜1994年)をスキャン再現

 

【UHQCD盤(2016年)】

・ハイレゾ配信に合わせデジタルリマスターされた96kHz/24bit音源がベース

・対象はアナログ時代にリリースされた69曲

・エンジニア多田雄太氏がアナログレコードのマスター音源から新規にリマスター 

・高音質UHQCDを採用

・歌詞カードの再現はあくまでCD仕様の簡易的なもの

 

上記のように2009年の音源はあくまで発売当初のものをHQCDに収めたのみでリマスターされた訳ではありません(尚、HQCDによる音質向上はCDプレイヤーの規格上、意味は無いというのが私の認識です)。その為、音質的にはリマスタリングされた2016年のUHQCD盤が優れています(こちらも同様にUHQCDを理由とした音質向上は原理的に無いと考えます)。

この記事のテーマ「HQCD盤とUHQCD盤の違い」は、上記のように「高音質CD仕様の違い」では無く、「収録されている音源の違い」であり掲載した検証動画のように「普通は殆ど気付かない差」であったりします(笑)。

発売当時のオリジナル性を重視するなら2009年のHQCD盤を、高音質を追求するなら2016年のUHQCD盤という感じでしょうか。世間一般では2009年の方が高値がついて人気ですね。

 

- - 追記(1)- - - - - - - - - - - 

HQCDもUHQCDも「CDプレイヤーの規格上、意味は無い」とした理由は以前にも別記事で述べましたがCD規格の強力なエラー訂正が作動し、理論上ほぼ完全な音質再現が可能な為です。HQCDもUHQCDも読み込み時のエラーを軽減するものですが、仮にエラーを生じたとしてもエラー訂正機能で回復できる為。どうしても読めなかったデータ欠損分を擬似的に再現する仕様でありますが、そんな状況は万に一つの状況である上、人間が判別できる限界を超えたナンセンスな議論と考えます。

  

- - 追記(2)- - - - - - - - - - - 

ネット上では2009年のHQCD盤に誤った認識が散見されます。「2009年のリマスターだから音が良い」「2009年のCDはHQCDだから音が良い」等など。2009年と2016年の仕様を混同している記述も見られます。

こうした混乱を生じている原因の1つに配信サービス「Apple Music」の表記に誤りがある為と私は考えます。2ndアルバム「ガラスの鼓動」を例に確認してみましょう↓


例えば上記はApple Musicの表記ですが、リリース「2009年」となっているのに「リマスター盤」と記載されています。前述のようにリマスター盤はハイレゾ配信時に用意された「2016年」の音源であるハズで、矛盾していますよね(2016年のリマスター盤は10曲ではなく11曲ですし)。

(※そもそもオリジナルのアルバムは1986年リリースであり、復刻再販年で記載は「違う」と私は思います・・・だって音源は1986年と同じなのですからね)

  


次にAmazon Musicの表記。わざわざ「紙ジャケver.」と記載あるので、これは「2009年」リリースを指しているハズですが、リリースは「1986年」となっています。

私はAmazon Musicの記載は良心的と考えますが「紙ジャケver.」の表記は蛇足であり矛盾していますよね(そもそも配信に紙ジャケも何もあったもんじゃないですが)。

 


最後にSpotifyの表記ですが、これも「紙ジャケver.」と記載あるので「2009年」リリースを指しており、そうした意味では表記の年号も2009年なので合致します。

確かにウソの無い表現ではあるのですが、ここでもやはり疑問なのが配信にはフィジカルな要素はないので「紙ジャケVer.」と記載の必要はないですし、音源は1986年のオリジナルと同じなので(リマスターでは無いので)Amazon Musicのようにリリース年は「1986年」とするのが正しいと考える訳です。

 

・・・と、まぁ私のように細かい点が気になる輩がマニアックに見ていくと色々と目につく部分がある訳です(苦笑)。かく言う私も前述のYouTube動画内で表記を間違ったように過去40年の間に実に複雑な再販を繰り返しているのが斉藤由貴のアルバムだったりします。[了]