Nikon 1にCanon EFレンズを装着
Nikon 1マウント(CXマウント)にキヤノンEOSのEFマウントを装着するマウントアダプターを買ってみました。マウントアダプター遊びは、一昔前にM4/3ミラーレス機が台頭してきた頃にブームとなり、かなり周回遅れな今更やってみた訳です。
購入したマウントアダプターは中華製のよく分からないブツで、2,000円チョイ。
キヤノンのEFマウントはレンズ絞り等の情報が電子接点によるデータ転送でカメラ側と行われる訳ですが、当然のようにこの安価なアダプターは撮像素子までの距離をオフセットしたダケの単純機構故に絞りもフォーカスも、更には露出さえも全てマニュアルになります。
加えてこのアダプターが面白いところは、アダプター側に絞り羽根を設けているところ。EFマウント(というか昨今のレンズ全般)はレンズ側の絞りがカメラ本体側からの電気信号で制御されて絞り羽根が動く機構のため、このような単純なマウントアダプターを介したダケでは、絞り値が設定できず、常に絞り開放になってしまいます。
その為、絞り値を調整するためにアダプター側で絞り羽根を持っていて、9段階に絞りを調整可能という力技なアダプターだったりして・・・なんだかこの強引な手法に惹かれて購入してみました・・・そう、お察しのように、さしたる目的も用途も無いままに(苦笑)。
※ひとつ重要な事をお伝えすると、Nikon 1系はミラーレス機ですが、オールドレンズ遊び等、純正レンズ以外を使うには全く不向き。なぜなら、純正レンズ以外を装着するとAE(自動露出)機能が無効になってしまう大きな欠点があるためです。
これが他社のミラーレス機だとAEが機能するレンズ無しレリーズが可能なのですがね。ファームウェアのアップデートでいずれNikon 1系でも可能になるだとう、と期待していたのですが、実現する前にディスコンになってしまったという罠(Nikon 1 J5では露出計表示が出来るようになったそうですが)。
そのため、Nikon V1にマウントアダプターを付けたダケでは「レンズ装着されてません」とエラー表示になるので、モード切り替えをフルマニュアルな「M」に設定する必要があり、そして前述のようにこれは露出計も無いフルマニュアルでの操作を意味します。こんなの使えんのかよ状態。
※一部のマウントアダプターにはAEが使えるように電子接点を設け、そこにダミーチップ情報を載せているものもあるようです。ただ、かなりハック的な商品であることや、私の買った素のマウントアダプターより割高(2倍以上の値段)なので悩ましいところ。
SIGMA製30mm f1.4 EX DC HSMを装着した状態。
これまでEOSに付けっぱなし状態で常用していたお気に入りのレンズですが、EF 24-70mm f2.8 L IIを購入してから出番がすっかり無くなってしまいました(元々、SIGMA 30mm f1.4 EX DC HSMでも殆どのシーンで絞り2.8を下限として使っており、シャープな解像感のEF24-70mm f2.8 L IIで完全に事足りてしまった為でした)。
折角の良質なレンズが勿体無いと考え、無謀にもNikon V1への装着を試みた訳です。本来ならその成果を作例でご覧いただきたいところなのですが、結果は散々でしてマトモに写せず、とてもお見せできる状況にありません(苦笑)。歩留まりが悪過ぎてロクな写真が撮れてませんもの・・・
(激しいパープルフリンジ) |
マウントアダプターを介してSIGMA 30mm f1.4 EX DC HSMを装着すると、パープルフリンジ(明るい背景と暗い被写体などの境目が紫色とかになってしまう現象)が酷く強調されます。
これはSIGMA 30mm f1.4 EX DC HSMが悪いという話しでは無く、明るい単焦点レンズを絞り開放で使うとよくある話し。それに、キヤノン用を無理やり流用してるのだから文句は言えません・・・が、だからと言って容認できるレベルでも無い(酷い)。
よりセンサーサイズの小さなNikon 1の1インチセンサーでは、その傾向が更に顕著に出たという事でしょうね。
因みに焦点距離は1インチセンサーでは2.7倍になるので、30mmな同レンズでは81mm相当の中望遠レンズとなります。この微妙に使いどころに悩む焦点距離です。更に最悪なのは、AE(Automatic Exposure :自動露出)が効かない事。よって撮影はかなり難しいです。
※プログラムAE無しのカメラという意味では1960年代のキヤノンFT-QLを使っていますが、露出計が内蔵されているので露出がアンダーなのかオーバーなのかの目安は掴めます。ただ、露出計さえ無い(正確には"使えない"ようにロックされてしまう)状況はさすがに未経験だったので苦戦しております。手持ちで使う露出計を買おうか悩みつつも、正直そこまでする意味が見出せず放置気味です(苦笑)。
(SIGMA 30mm f1.4 EX DC HSM , 絞りf1.4 , 1/125 , ISO800) |
SIGMA 30mm f1.4 EX DC HSMを装着し開放f1.4で撮影したクリスマスツリー。社外レンズをつけると撮影時のピント拡大表示もできなくなるニコンの底意地悪い仕様のためピントが甘い事はご容赦ください。
前述のようなパープルフリンジは目立ちにくい被写体ですが、敢えてこのレンズを積極的に使う意義は残念ながら見出せないのが正直なところです。
(SIGMA 30mm f1.4 EX DC HSM , アダプター側の絞り6段目 , 1/40 , ISO800) |
次にレンズ側の絞りは電子制御で動かせないので、マウントアダプター側の絞り1〜9段階あるものを6段目まで絞って撮影してみた際の写真。先ほどの絞り開放よりはシャープ感は出ましたが、ISO800に対してシャッター速度1/40まで遅くしています(それでもまだ少し暗めな画像)。
何よりもAEが無効となってしまう関係から、カメラ本体の背面液晶で今どの位の明るさで撮れるのかが把握できないのもNikon 1系の大きな欠点。本当にニコンの仕様が底意地悪くて嫌悪感さえ覚えます・・・
SIGMA 30mm f1.4 EX DC HSMでの玉ボケを見るとこんな感じ。・・・うーん、APS-CのEOSに装着した際には、もっと綺麗な円を描いてくれ、印象がかなり異なります(周辺は流れちゃってますね)。アダプター介して無理やり装着してる為でしょうね。
拡大すると典型的な「年輪ボケ」。これはSIGMA 30mm f1.4 EX DC HSMの特徴ですね。年輪ボケを嫌う人もいますが、私は別に気になりませんけどね。
次に1960年代のCanon FL 50mm F1.4 IIを装着してみました。こちらは絞り値をレンズ側で直接設定できるのでマウントアダプター側の絞り羽根は使わずに開放にしておく必要があります(ややこしい)。
※FLレンズというのはキヤノンが1964年から採用した古(いにしえ)のマウント。ここでは詳細は省きますが、これに続くFDマウントと互換性があります。そのためEOS(EFマウント)にFDマウントのレンズを付ける変換アダプターを介して更にNikon 1マウントに変換している状況です・・・これまたややこしい。
(Canon FL 50mm f1.4 , f2.8 , 1/40 , ISO800) |
そんな二重でのマウント変換を経て装着されたFL 50mm F1.4 IIですが、Nikon 1では焦点距離が約2.7倍なので135mm相当の単焦点望遠レンズとなります。
上記画像はf2.8での撮影。FL50mm F1.4 II自体は基本的にシャープな描画のレンズですが、マウントアダプターに搭載された補正レンズの関係で(良い言い方をすると)柔らかな描画になってしまいます(悪い言い方をすると、マウントアダプターに組み込まれた補正れnレンズ本来の性能を発揮できないダメな描画になります)。やはり補正レンズのない、Nikon1マウントに直接FDマウントを装着できるアダプターが良いですね。
(Canon FL 50mm f1.4 , f5.6 , 1/10 , ISO800) |
f5.6まで絞ると普通に使えますね。でも普通すぎて味気なく、わざわざ1960年代のレンズを使う理由にはなりません。そう考えると先ほどのf2.8程で、ほんのり柔らかく女性のポートレートを撮るとか味があって良いかも知れません。
(SIGMA 30mm f1.4 EX DC HSM , 絞りf1.4 , 1/125 , ISO800 を4倍拡大表示) |
私がNikon V1を好む理由は、その低いセンサー性能(!)。逆説的ではありますが、1インチと小さなセンサー故に暗所に滅法弱く、少しISO感度を上げただけでザラザラなノイジー画質になってしまいます・・・が、そのノイズ感というか「粒状感」がフィルム写真のような味がある、と好意的に解釈しています。
上記画像はISO800で撮った元写真を4倍に拡大したものですが、見事な程にザラザラ。SIGMAの30mm f1.4 EX DC HSMの開放で撮った為、フリンジも出てダメな写真ですが、粒状感と背景の白飛び具合とかフィルムっぽさがあって、こういう味も悪くないな、と感じる今日この頃。
Nikon V1とマウントアダプターの組み合わせは、心に余裕のあるときの遊び道具として気が向いたらチマチマと撮って行きたいと考えます。〔了〕