ドラゴン・タトゥーの女給
たまに行く近所のカフェで朝食。
愛用のカメラEOS Rに、1960年代のオールドレンズFL50mm F1.4IIを装着。
浅い被写界深度と甘い描画が最近のキブンです。
そういえば。
この店には独特な雰囲気を放つ若い女給がいます。
ショーのランウェイを闊歩するモデルのような色白で細身の彼女。
先端鋭利な黒髪ショートボブに、アンダーリムのメガネを掛け、
丹念に描き込まれた濃いアイシャドウの奥に見える切長な目は、
客に媚びないクールな応対と相まって、まるで獲物を睨む蛇のよう。
雇用者が与えた制服さえも、その着こなしから違った雰囲気に感じられます。
きっと彼女はタバコを薫らせ古いレコード盤を聴いているに違いない。
きっと彼女の父親はフランス人に違いない。
きっと彼女はかつてパリに住んだことがあるに違いない。
パリ時代の彼女は銃所持免許を取得していたのではないか。
だとしたら、彼女が愛用した拳銃はワルサーPPK/Sあたりだろうか。
いや、パリに溶け込むブローニングM1910を嗜んでいたに違いない。
そして、彼女の背中には、
龍の刺青(ドラゴン・タトゥー)が彫られているに違いない。
・・・と、そんな妄想掻き立てる存在感を放つ彼女を、
密かに「ドラゴン・タトゥーの女給」と呼んでいたのであります。〔了〕