Lo-Fiレンズ、7Artisans 50mm F1.1 (その3)
(前回の続き)今回は、七工匠「7Artisans 50mm F1.1」に関して、もう少し詳しくご紹介します。
このレンズは2017年に発売となり、かなり話題となった事からネット上では既に多数のレビューが掲載されており評価が定まったと言えます。
概ね、其れ等をまとめると、以下の様な意見に集約されます。↓
・7Artisansのビルドクオリティはとても良好
・7Artisansの開放F1.1では、とにかく良くボケる
・開放F1.1をNoctiluxと比べると、7Artisansのボケは輪郭線がより滲む
・7Artisansの開放F1.1でのボケは、やや輪郭線が強くザワついた感じ
・7Artisansの中央部は、F1.4で改善され、F2.0まで絞るとシャープに
・7Artisansの周辺部はF5.6位まで絞り込まないと改善しない
・7Artisansのボケの傾向は、四隅に向かって放射状に流れる
・7Artisansの開放F1.1では、周辺減光が激しい
・7Artisansは歪曲収差が強めに出る
・7Artisansは逆光に弱くフレアが目立つ
・さながらオールドレンズを扱っているような気になる
このように、良くも悪くもクセが強いレンズなのは確かなようです。
私が「7Artisans 50mm F1.1」を購入するきっかけとなったのは、当ブログでも何度もご紹介している、キヤノンが1960年代に出した「FL50mm F1.4 II」の持つクセに魅力を感じた為です。「FL50mm F1.4 II」を使っていく内に、もっと被写界深度の浅いレンズも試してみたくなってきました。ただ、F1.4のその先を試そうとすると、急に価格が跳ね上がる他、選択肢も一気に狭まります。
(CC Photo Terry Chay.)
最初に候補として挙がったのが、コシナ社のVoigtlander(フォクトレンダー)「NOKTON 50mm F1.1」です。F1.1であり、歪みも少なく、高い描画性能には定評があって安心して絞り開放から使えます。
「NOKTON 50mm F1.1」は価格も定価137,500円(税込)、新品120,000円前後、中古なら80,000円前後で購入できます。世界中で人気のレンズですから、もし相性悪くて手放す際にもリセールバリューが期待できます。
ちょうど手元に自由になるまとまったお金が巡って来た事もあり、「NOKTON 50mm F1.1」を物色し始めますが、そんな折りに出会ったのがこの「7Artisans 50mm F1.1」でした。
「NOKTON 50mm F1.1」と「7Artisans 50mm F1.1」の比較では、描画力は圧倒的に「NOKTON 50mm F1.1」が勝るものの、ネット上で様々な作例を目にするうちに、クセの強い「7Artisans 50mm F1.1」に惹かれるようになります。
クセの強さは合う・合わないがありますが、どうせ遊びに使うレンズなら、クセの強い方が使い熟しに難儀して面白そう?と感じた為です。
おまけに「7Artisans 50mm F1.1」なら新品が43,920円。これに最短撮影距離を短縮するためのヘリコイド付きマウントアダプターSHOTEN LM-CR Mを組み合わせても+24.292円で、合計68,212円と安価。そして、何より私の背中を押したのが、カラーバリエーションとしてシルバー鏡筒のレンズがある事でした。
愛用するEOS Rのボディにクラシックスタイルのレンズが似合わないことは百も承知ですが、とことんヘンテコな組み合わせで行くのも面白かろう、と「7Artisans 50mm F1.1」購入と相成りました。
そして、出来上がったのがコチラ。前述のように、この組み合わせが似合わないのはどうでも良いのです。なにせEOS Rのデザインにはヘイトしか無い私ですから・・・。
気に入っているポイントは、やはりレンズ筐体のシルバーカラー。シルバーといっても魔法瓶みたいにテカテカしたものでなく、梨地で落ち着いた色合いと感触が愉しめます。見た目の高級感はありませんが、ユルくチカラの抜けた、いわゆるここでも独特なLo-Fi感が気に入っております。
さて、次回はいよいよ実写編。果たして、どんな写真が撮れるのでしょうか。〔つづく〕