「7Artisans」と「TTArtisan」の違い
中華レンズメーカーとして名を馳せるブランドに「7Artisans」と「TTArtisan」が有名です。私も大変気に入っており、いま最も注目しているブランドです。
ただ、どうにも詳細がわからないブランドだと思いませんか?
共にブランド名称も商品も似通っており、この違いについて整理された記述を私は目にしたことがありません。
・・・そこで、気になったので少し調べてみました。
私が調べた範囲での結論から言うと、
7ArtisansもTTArtisansも別会社であり「関連性は無い」
というのが私の解釈です(もし間違いがあればご指摘いただければ幸いです)。
中国特有の事情として、非常に似たような企業がプロダクトやサービスを提供する企業が中国国内に乱立しています。これは国土が広大であるが故に一企業ではカバーできないこと、更に近年では市場競争が非常に激化していること、加えて知的財産権について独特な解釈と運用がされている事から、よく似たプロダクトやサービスが乱立することがあると聞きます。
日本や欧米では知財権で訴えられてしまいますが、中国ではむしろ政府による規制や意向の影響が強く反映されており(政府は直接のコントロールこそしないものの)競争力を高める判断が知財権よりも優先される傾向にあるようです。この辺り、日本や欧米の感覚では賛否あるでしょうが、中国のダイナミックな成長を支える1つの要素なのかも知れませんね。
さて、もう少し具体的に説明します。
「7Artisans」(七工匠)は、中国の光学聞機器メーカー「深圳市东正光学技术股份有限公司」(Shenzhen Dongzheng Optical Technology Co., Ltd,)が2015年に設立したレンズブランドです。
現在はWebアーカイブにも残っていないのですが以前はURL「http://www.dongzhengoptics.com/news/7artisans-is-established-as-a-new-brand-of-dongzheng-optical-technology-co-ltd.html」にて7Artisansのブランドを立ち上げたことをニュースリリースで記載していました(現在はリンク切れになっています)。
一方「TTArtisan」(銘匠光学)は、同じく中国の光学機器メーカー「深圳明江光学技術有限公司」(Shenzhen Mingjiang Optical Technology Co., Ltd,)が2019年に設立されたレンズブランドです。この事はOMデジタルソリューションズ社のニュースリリースにも記載がありますので確かでしょう。
つまり、7ArtisansもTTArtisanも企業体としては共に別々であることが分かります。
・・・が、ややこしいのはここからです。
一部のWebサイトの記載では、7Artisansを設立したDongzheng Optical 社の親会社が、TTArtisanを設立したMingjiang Optical 社である(!?)との記述が散見されます(そして奇妙なことに、逆にMingjiang Optical 社がDongzheng Optical 社の子会社であるという記載も散見されます)。
どうも、この辺りの記述は「7Artisans」と「TTArtisan」を混同して(もしくは「Dongzheng Optical 社」と「Mingjiang Optical 社」を混同して)記述しているように思え、誤った情報では無いか?というのが私の推察です。
なぜなら、Dongzheng Optical 社とMingjiang Optical 社を直接に結び付ける情報は見つけられず、「7ArtisansはDongzheng Optical 社が作った」という情報と「7ArtisansはMingjiang Optical 社が作った(←こちらは誤情報?)という情報が合わさって、Dongzheng Optical 社とMingjiang Optical 社が同じ企業体のように混同されているように思えてならないからです。
また、その証拠にDongzheng Optical 社とMingjiang Optical 社の双方の公式Webサイトを見ても両社の関係性を明確に示すものは見つけられません。とはいえ中国企業のWebサイト上における情報は限定的なので、この部分についてはグレーなままですが、冒頭に述べたような理由から、私は別々の独立した企業体であると解釈しました。
もしこの辺りの事情にお詳しい方おりましたらご指摘いただければ幸いです。〔了〕