同志少女よ、敵を撃て

戦火で荒廃したスターリングラード

厳寒なロシアでは「赤」は暖かく“良いイメージ”を持ち、例えば「赤の広場」は「美しい広場」の意があるとの事。

よってロシア革命側が「赤軍」(=良い軍)、反革命側が「白軍」となり、同じく「白系ロシア人」は「反革命側」を意味するようです。


私のロシア基礎知識はこの程度しか無く、第二次世界大戦の独ソ戦(東部戦線)については(多くの日本人がそうであるように)あまりよく知りません。

 

同士少女よ敵を撃て

逢坂冬馬氏のベストセラー小説「同志少女よ、敵を撃て」を、ようやく読了しました。時間を要したのは気になる記載がある度に都度“予習”を挟んだ為です。


本作は独ソ戦におけるロシア女性兵士の物語。読むにあたり、そもそもロシアには何故、女性兵士が居るのか?と気になって調べ始めノンフィクション「戦争は女の顔をしていない」(1985年)に寄り道。次いでスターリングラードの話が出れば、再び本を閉じて当時の攻防戦の概要を調べ・・・と、いつまで経っても読み進める事ができず。

しかし、そうした寄り道をして“予習”した事で本書を大変深く理解する事に繋がり、大きな満足感が得られます。


同志少女よ、敵を撃て」は史実にフィクションを重ねた小説ですが、最も良かった部分は主人公達の目覚ましい活躍が“戦況の大勢には影響が無い点”。戦争という大きな事象において主人公達は些細な一欠片でしか無い点に深いリアリティと陰影を与えてくれます。

これから本書を読まれる方は、スターリングラード攻防戦のWikipediaページを読むだけでも良いので“予習”をオススメ。ベース知識を付け焼き刃で仕込んでおくと理解がグッと増します。[了]


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