“酷い収差”を愉しむLo-Fiレンズ

7Artisans 35mm F2 (1st) + Canon EOS R.

収差の激しさが独特のLo-Fi感となって楽しい「7Artisans 35mm F2」(初期の1型)、未だ飽きずに使っています。かなり曲者な中華レンズですが、それ故に“癖になる”写りの悪さを愉しむLo-Fiなレンズです。 


2年前の記事でも紹介しましたが、この「7Artisans 35mm F2(1型)」は4万円弱します。レンズとしては破格値ですが、4万円あれば良い洋服も美味しい料理も愉しめる額なので、やや身構えてしまいます。


写りの良さが評判の「Voightlander NOKTON Classic 35mm F1.4 II」が6.5万円程ですから「素直に、もう少し足してNOKTONにしておけば良かった」と後悔ありつつも、7Artisans 35mm F2(1型)が持つ収差の“酷さ“が楽しくて、それ故に出番の多いレンズとなっています。

「カメラバカにつける薬」より、みんなが類似の写真を撮っている現象について

以下作例は全て絞り開放F2.0で撮影↓

Cafe CUCO.

窓辺に陽がさしこむカフェにて撮影。フレアや色収差が激しいですが私が印象的に感じた風景を上手く再現してくれていると感じました。

 

Cafe FAbULOUS.

こちらも別のカフェでの朝の風景。中央こそ相応に解像していますが、すぐ周辺は割と直ぐにデタラメな写りなのも気に入っています。

 

Atrium.

周辺減光と色収差の分かりやすい例です。中心部以外は“解像しない“のも楽しいもの。

 

Sakiko is climbing rope-net. (KOTOBUKI CP-80034R).

こちらもヘンテコなトイカメラ風な写りですが、手前から奥に連なる立体感は悪くないですよね。

 

sofacoffee wool.

玉ボケ感はこのように中心部以外はそこそこ潰れています。光のボケそのものは結構キレイと感じますが如何でしょう(背景に写る窓のあたりのボケはややザワつくものの)。

 

Sakiko enjoys a hot summer day at Moerenuma Park.

奥行きの遠近感、立体感、フレアの感じも私は好きです。

 

7Artisans 35mm F2.0

当初こそ金属鏡筒の感触から「ビルドクオリティが高い」と思えたものの、2年以上使って行くと(写りには影響ない程度ですが)レンズ内にかなりチリが入り混んでいました。

・・・恐らく工作精度が低く、隙間が多くてチリが入り込むのでしょうね(愛用のキヤノン製ズームレンズEF24-70mm F2.8L IIは長らく使っていますがチリの混入は殆どありません。ズームレンズなのに素晴らしい!)。

 

中華レンズはこうした欠点に目くじら立てるのでは無く、欠点を味わうものだと視点を変えた途端に楽しい"Lo-Fi"レンズとなりました。尚、F5.6まで絞ればご紹介のような欠点は殆ど見られなくなりますが、それはツマラナイので敢えて絞り開放付近で撮影しています。

1型は癖が強すぎたのか、後継の2型はかなり修正されて端正な写りのレンズになたっと評判ですが、私は敢えて1型を推しく考えます(中古なら3万円弱で流通している模様)。[了]

 

7Artisansのレンズ35mm F2.0をメルカリで中古を探す