CHDKをPowerShot G1Xに適用
2012年製の古コンデジ「PowerShot G1X」に、カスタムファームウェア「CHDK(Canon Hack Development Kit)」を適用する方法を備忘録として記載しておきます。
「CHDK」とはキヤノン製コンデジ(一部の一眼機も含む)用のカスタムファームウェアで、昔は「ロシアンファーム」とも呼ばれていました。流行ったのは2010年前後でしょうか。コンデジ等の性能を限界まで突き詰めることを目的に作られたGPL(GNU General Public License:フリーライセンス)のファームウェア。
安全マージンを犠牲にしてでもカメラ性能や機能を求めるマニア向けファームウェア故に自己責任での利用となりますが、中々に便利で長らく愛用しています。
多くの方は標準でRAW非対応コンデジでRAW撮影を行う事を目的にCHDKをインストールするようですが、G1Xは標準でRAW撮影可能なことや、私はRAW撮影は行わないJEPG主義者なのでCHDKを使う目的はもう少し別のところにあります(詳細はコチラの記事を参照)。
とまれ今回、愛用の古コンデジ「PowerShot G1X」にMacを使って再インストールする機会がありましたので備忘録として、その手順を掲載しておきます(ご利用は自己責任で)。
(1)インストーラーのダウンロード
現在のCHDKには「STICK(Simple Tool for Installing CHDK)」と呼ばれるインストーラーが用意がされているので、これを用いるのが手っ取り早いです。STICKはJavaで作られたアプリケーションのため、実行にあたっては予めJavaがインストールされている必要があります。
[Javaダウンロード] https://www.java.com/en/download/manual.jsp
[STICKのダウンロード] http://www.zenoshrdlu.com/stick/stick.html
STICKは圧縮されたZip形式で提供されますが、この展開時にはMac標準の機能ではなく「The Unarchiver」等の解凍用アプリを用いないと文字コードの関係でうまく動きません。
(2)STICKの起動
解凍後のフォルダを開くと下記のような構成になっていると思います。
解凍後のフォルダより「stickML.command」をダブルクリックで実行します(MacOSのうち、Mountain Lion/Mavericks/Yosemite/El Capitanまたはそれ以降のバージョンでSTICKを実行するにはstick.commandでは無く、stickML.commandを用いる必要があります)。
ダブルクリックした際に「開発元を確認できないため」実行できなかった際は[システム設定]→[プライバシーとセキュリティ]から上記項目を見つけ[このまま開く]の押下で実行できます。
上記のようにパスワードを聞かれるので、Macログイン時に用いるパスワードを入力します。尚、STICKの実行にはroot権限(Macの管理者権限)が必要なので管理者権限のあるアカウントでMacにログインしておく必要があります。
インストーラー「STICK」が起動します。
(3)PowerShotで写真を一枚撮る
STICKはデジカメで撮影した写真からのデータを元にデジカメの機種やファームウェアの種類を判別するため、SDカードを入れてデジカメ側でとりあえず一枚写真を撮る必要があります。
(4)STICKで写真を開く
MacにSDカードを装着し、STICKの[Brows]ボタンを押下し画像を指定して開きます。
STICK側が当該デジカメに必要となるCHDKの種類を判別しサジェストしてくれます。私のPowerShot G1XではCHDKファームウェア「101a」が該当するとあるので[Download]ボタンを押下します。
(※私の場合、CHDKは「101a German Stable CHDK-DE」とドイツ語版がサジェストされていますが言語設定はインストール後に変更可能なのでこのまま進めます)
画面が上記のように切り替わるので[Scan for Cards]を押下。
装着されたSDカードの情報が表示されるので[continue to Install Step]を押下。
[install CHDK]を押下するとSDカードにCHDKがインストールされます。
[Safely Eject Card]押下でSDカードが取り出し可能な状態となります。
(5)SDカードをカメラに装着し再生モードで起動
SDカードをカメラに装着し(撮影モードではなく)再生モードで起動します。多くのコンデジが[再生ボタン]を長押しすることで再生モードでの起動が可能であり、私のPowerShot G1Xも同様の操作で再生モードでの起動が可能です。
(6)CHDKからの起動
再生モード時にカメラのメニュー画面を開くと下記[Firm Update...]項目が表示されるようになります。
[Firm Update...]を押下して開く。
上記のようにカメラ本体のファームウェアをSDカードに保存したCHDKのファームにアップデートするか?と聞かれるので[OK]を押下します。ただ、本体のファームウェアが書き換わる訳ではないのでCHDKで起動したい際は毎回この手順でCHDKを起動する必要があります。
CHDKの起動方法は上記のようにカメラ起動後に「Update Firmware」にて手動で切り替える方法と、「Bootable SD」を作ってカメラを電源ONすれば自動的にCHDKが起動する方法の2種類があります。
※利用において圧倒的に楽なのは自動起動してくれる後者「Bootable SD」ですが、4GB以下のSDカードを使う必要があります(SDカードをロックかけた状態でカメラに挿入して起動するとCHDKが最初に起動されます)。
今回用いたような4GB以上のSDカードを自動起動可能なBootable SDにするには、CHDKインストール用アプリの1つ「SDMInst」を使えば可能なようですが私のMac環境ではSDMInstが何故か上手く動かず諦めて手動で起動する「Update Firmware」としました。
CHDKが起動すると上記のような画面となります。
(7)言語設定を英語にする
前述のように私がインストールしたCHDKは「101a German Stable CHDK-DE」とドイツ語版がサジェストされてしまっていたので、メニューを見ても何がナンだか分かりません。そこで、言語設定を英語に変更します。
PowerShot G1X本体の[ショートカットボタン]押下で画面下に「<ALT>」の文字が出るので、すかさず本体の[MENU]ボタンを押下すると下記のメニュー画面に切り替わります。
ドイツ語表示で良くわかりませんが[CHDK-Einstellungen](=CHDKの設定)を選択。
[Menu-Einstellungen](=メニューの設定)を選択。
[Sprache & Zeichensatz](=言語と文字セット)を選択。
さらに[Sprache...](言語)を選択。
ここから[ENGLISH.LNG]を選択すると英語表記に変わります(日本語はありません)。
英語だと何となく意味が掴めますよね。ただ、ご覧のようにメニュー階層が深い上にマニアックな細かい設定がありすぎて操作は分かり難いです。
英語マニュアルも公開されてますが汎用的に書かれている為、適用したCHDKと異なる点もあり、色々と試しながら覚えるのが早そうです。[了]